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新・呑んだくれ日記 ~ #8  まるます家 @ 赤羽





プレス石井です。

不定期更新の『呑んだくれ日記』が、
『新・呑んだくれ日記』としてリニューアル。

キーワードは「ザ・昭和」
昭和を愛する私が好む、
男の一人酒や一人飯にふさわしい
お店などを中心に書き綴ります。

駄文拙文は相変わらずですが、
何卒ご容赦の程。

*前回はこちら



【第8回】
まるます家@ 赤羽


前回に記した立石と並ぶ『昼呑みの聖地』が赤羽だ。
立石と同様に、
かつて工業地帯であった界隈には
夜勤明けの工員たちを呑ませる為に、
朝から営業している店が多かった事が由来と聞く。

その赤羽のランドマークといえる存在が、
まるます家』である。





昭和25年創業。
屋号の通り、鰻や鯉等の川魚を主とする老舗名店。
一見、街の鰻屋風情であるが、
品書きは豊富で、その数は百はあろうか。
酒は云うまでも無し。
勿論、食事のみでも楽しめる、
地元に根付いた人気店である。

開店時間は、何と朝の9時。
立石においても、そのような店は無い。
創業以来66年、その開店時間は不変というから驚きである。

店内には大きく細長い『コの字』カウンターが2基聳え立つ。
左右並行に並ぶ2基のカウンターは、
まるでガンダムのホワイトベースを彷彿させる容貌だ。

右舷、左舷、めいめいのカウンター内には
若女将を筆頭に姉御衆が陣取り、
慌ただしく注文を差配する。

更に両カウンターの間、中央奥には
名物大女将が鎮座し、店内中の注文を一手に取り纏めている。

その様は、宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長の如く、
まさに司令塔たる存在感である。




赤星(サッポロラガー)



たぬき豆腐



ジャン酎(モヒートセット)



鯉生刺し



燗酒(丸真正宗)



どじょうとじ



蒲焼



店内に目をやると、
壁一面を埋めつくした短冊メニューに圧倒される。
名物である鰻や鯉などの品々を始め、
ジャンボメンチ』や『げそ焼き』、
鮪ブツ』に『すっぽん鍋』などが人気メニューだ。


数ある品々に目移りする事必至だが、
まず頼むべき一品は『たぬき豆腐』であろう。

簡単に申すと、冷やしたぬき蕎麦の『蕎麦』のかわりが
『豆腐』という代物。
冷たいツユに豆腐と揚げ玉のマリア―ジュ。
胡瓜や若布も添えられ、夏場には最高のアテである。

これに合せるのが、
名物『ジャン酎モヒート』だ。

市販品の酎ハイにライムとミントを加えて、
モヒート風という塩梅であるが、
これが中々の物。
たぬき豆腐同様、
店内の客のほとんどが注文している人気の品だ。
聞けば、銀座の名店『ロックフィッシュ』のマスターが考案したとの事。
成程と敬服する事しきり。

ジャン酎が空いた頃合いに、蒲焼が到着。
これに合せるのは、地元赤羽の『丸真正宗』だ。
23区内にて唯一の蔵元『小山酒造』の銘酒である。
蒲焼をアテに呑る燗酒の何とも格別な事よ。

因みにこちらのお店も酔客お断り。
既に呑んでいる場合は入店不可である。
店内においても酒は一人3本までと決められている。

下町には、同様の決まりを設けている店が多い。
酔っ払い防止と長っ尻防止の為である。

のんべんだらりと呑み続けて、
挙句に泥酔酩酊など言語道断。
長居は無用。
下町の流儀は此処でも変わらない。

と或る日曜の昼下がり。
昼酒の愉悦に浸る一時。
その白昼の為業に於ける無上の刹那。
至福の境地、ここに極まれり。




鯉とうなぎのまるます家

東京都北区赤羽1-17-7
(営)9時~21時30分
(休) 月曜




そして今回の1曲。
当該店にて、脳内再生された楽曲を紹介。




ささきいさお  " 真っ赤なスカーフ " 


昭和テレビ漫画の不朽の名作、『宇宙戦艦ヤマト』のエンディングテーマ。

現在のTVアニメの主題歌の多くは、
既存の歌手の曲を使用するという、
いわゆるタイアップが主流となっているが、
当時は番組用に楽曲を書き下ろす事が極当たり前の事であった。
故に心に残る名曲が非常に多い。
番組内容と全然関係の無い歌よりも、
物語や登場人物に則った歌の方が、
子供心に深く刷込まれるのは当然の如しである。
巨人の星』や『ウルトラマン』などが良い例であろう。
私自身も昭和TVマンガの主題歌は、
大概の曲は今でもソラで歌う事ができる。

そして特に名曲が多いのが、エンディングテーマ。
所謂、終わりの歌である(笑)。

ルパン三世の『ルパン三世主題歌2』、
タイガーマスクの『みなしごのバラード』、
はじめ人間ギャートルズの『やつらの足音のバラード』,
ベルサイユのばらの『愛の光と影』 等々、
名曲の枚挙に暇がない。

勇ましくドラマチックな曲調が多いオープニング曲は、
名曲ではあるが、やはり子供向け感は否めない。
対して、エンディングテーマはしっとりとしたバラード調で、
子供番組とは思えない、非常に大人っぽい雰囲気の曲が多い。
上述の楽曲群など、今も色褪せる事のない上質の昭和歌謡である。

前置きが長くなってしまったが、
今回の『真っ赤なスカーフ』。

放射能除去装置を受け取る為の、
地球とイスカンダルの往復29万6千光年の旅。
ヤマトの乗組員と、その帰りを待つ人々の心情を、
水木一郎子門真人と並ぶ、
昭和アニメシンガーの雄、ささきいさおが歌い上げた、
ロマンと哀愁に満ち溢れた名曲である。

そして、まるます家においては、
名物大女将が店内の全注文を撮り纏めている様に
見惚れている際に脳内再生。

店内中央奥に鎮座する大女将。
その全注文を取り仕切る様は、
まさに総司令官の恰好だ。
それはネルソン提督でも山本五十六長官でもなく、
真っ先に宇宙戦艦ヤマト沖田艦長が頭に浮かんだ。
右舷、左舷両カウンター内の姉御衆は、
差し詰め、古代進島大介というところか。

全くの余談だが、古代、そして森雪の劇中設定年齢が
何と17歳という事を最近知り、非常に驚愕している。





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新・呑んだくれ日記 ~ #7  宇ち多゛(うちだ)@京成立石



プレス石井です。

不定期更新の『呑んだくれ日記』が、
『新・呑んだくれ日記』としてリニューアル。

キーワードは「ザ・昭和」
昭和を愛する私が好む、
男の一人酒や一人飯にふさわしい
お店などを中心に書き綴ります。

駄文拙文は相変わらずですが、
何卒ご容赦の程。

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【第7回】
宇ち多゛@ 京成立石


葛飾区・立石。
今も昭和の風情を色濃く残す、
都内有数の下町である。

私にとっては、母方の実家が立石なので、
子供の頃から現在においても
馴染み深い街の一つである。

昨今では、
昼から呑む事が出来る個性的な店が多い所以から、
『呑んべいの聖地』などと称され、
メディアでも度々取り上げられている。




その代表格たるのが、
行列の絶えない、もつ焼きの名店 『宇ち多゛』(うちだ)である。



京成立石駅から徒歩30秒。
立石仲見世商店街に『宇ち多゛』は鎮座する。

屈指のもつ焼きの名店 として高名であるが、
諸々と難易度が高い事でも知られている。

まずは営業時間
平日14時から19時位まで。
土曜は何と、午前10時半位から13時位まで。
品切れの時点で即閉店。
近隣住人以外の一般の勤め人にとっては、
何とも訪れにくい設定である。


更に、数多く存在するローカルルール



その代表的な一つが、『既に飲酒した者は入店不可』

二軒目、三軒目という利用ができないので、
必然的に1軒目に訪れなければならないのである。

その他、多くの決まり事があり、
それに抵触するような場合は、
お店の方に厳格に指導され、
次第によっては入店拒否、
あるいは退店させられる場合もある。


そして最大の難関は注文方法である。

注文は『シロ』や『カシラ』などの部位(必須)に、
『タレ』や『シオ』等の味付け(必須)、
更には焼き方まで好みでオーダーできる。

例えば、
『シロ・タレ・ヨクヤキ』という具合に、
呪文のような符丁をお店の方にコールするのである。

しかし、店内の品書きには
ただ単に『もつ焼き』としか書かれておらず、
詳細が全く明示されていないのである(苦笑)。




シンキ(テッポウ&コブクロ)


煮込み(ホネ入り)


タンナマ


カシラスヤキオス


ハツシオ


ナンコツスヤキオス


オシンコショウガノッケテオス


シロタレヨクヤキ


アブラスクナイノタレヨクヤキ


梅割り (寶焼酎ストレート+梅シロップ)



然もあれ、『宇ち多゛』のモツは絶品だ。
モツ特有の臭みなど皆無。
他店で戴くモツとは明らかにモノが違う事が分かる。
その旨さは筆舌に尽くし難し。
これが全て一皿¥200というのだから、全く恐れ入る。


裸電球に照らされた店内には、
年季の入った細長机が
テトリスの如く複雑に配されており、
その総席数は約40席。
極狭の店内を埋めつくした漢たちが、
粛々とモツを喰らっている様は壮観の一言だ。


そして、客の9割以上が呑んでいる酒が『梅割り』である。
およそ7勺は入るであろうグラスに、
寶焼酎のストレートを受け皿に溢れる程に注ぎ、
そこに梅シロップを数滴垂らした代物。
当然であるが、これがかなり効く。
しかし、これがモツとの相性が抜群なのである。

この梅割りは一人3杯まで。
最大でも5杯までと決められている。
酔っているとお店が判断したら、
その限りでなくとも厳しく退店を促される。
宇ち多゛』は酔っ払いを許さないのである。


味の良さも勿論であるが、、
宇ち多゛』の魅力は、
独特のお店の雰囲気と、
個性的な店員方の存在であろう。

坊主頭で強面の三代目を中心とした男衆が店内を仕切る。
江戸っ子ならではの、一見ぶっきら棒な応対ではあるが、
その客捌きは見事そのもの。
満員の店内の四方八方から飛び交う
『呪文』のオーダーを正確に捌き、
焼酎の一升瓶を小脇にかかえながら
狭い店内を縦横無尽に差配する様は、
見ていて惚れ惚れする。

時折、ご常連方と軽口をかわしながらも、
一見と思しき客にも思慮深く対応する。
客一人一人に細かい目配せが行き届いていて、
とても心地が良い。

しかし規則やマナーには厳格で、
それを侵した客に対しては毅然と対処する。
これは狭い店内でも、皆が気持ちよく呑み食いしてもらう為の、
宇ち多゛』流のホスピタリティ。
昔気質の下町の店ならではの流儀なのである。


極上のモツを、梅割りで流す至福。
多くの傑物たちが『宇ち多゛』のモツに魅了され、
足しげく 『聖地・立石』 に通う。
常連方の間では、『宇ち多゛』を訪れる事を、
敬意の念を込めて『宇ち入り』と呼ぶ。

大行列や難解なオーダー、
そして厳格なルール等々、
艱難辛苦を乗り越えて落掌する愉楽。
ルビコン川を渡った先には、
約束の地が待っている。






宇ち多゛
東京都葛飾区立石1-18-8 
         立石仲見世商店街
(営)月~金 14時~19時頃
      土 10時頃~13時頃
      (*いずれも品切れ次第に閉店)
(休)日




(追記)
昭和21年創業の『宇ち多゛』は、
先日、記念すべき70周年を迎えた。





その記念品として配布されたのが、
寶焼酎キリンビールとのトリプルコラボによる手拭い。
70年の重みを感じさせる、素晴らしいデザインだ。



あらためて70周年おめでとうございます。
今後も末永きご繁栄をお祈り申し上げます。




そして今回の一曲。
当該店にて、自然発生的に脳内再生された楽曲を紹介。





JACKSON SISTERS  "I Believe In Miracles"


ジョニー・ブリストルのプロデュースによるガールズユニット、ジャクソン・シスターズ
当時人気絶頂の『JACKSON 5』への対抗馬(?)として
1976年にデビューするも、アルバム1枚で敢え無く解散。
その後の80年代後半のレアグルーブのムーブメントや、
HIP-HOPのブレイクビーツなどで再注目され、
今では知らぬ人はいない定番曲と相成ったのが、
この 『I Believe in Miracles』だ。

宇ち多゛』に通い始めた当初の事。
まだ緊張しながらモツを喰らっている時、
ふと店内を見上げると、
入り口の鴨居に何故かジャクソンシスターズのCDが??。

その瞬間、即座に脳内再生。

古色蒼然とした昭和風情の店内に、
全く似つかわしくないジャクソンシスターズ(笑)。
勿論、店内は無音でBGMという事ではない。
もう気になって仕方がなく、
終始、鴨居のジャクソンシスターズに目が釘付けに。

すっかり謎のCDに幻惑され、
気付けば、梅割りも何と四つ。。。

帰りの電車にて、壮絶に撃沈した事は云うまでもない。







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まきしま酒店@御徒町




1918年創業の

上野・御徒町の角打ちの老舗、『槇島酒店』。

先日の後楽そばに続き、

何と此処も5月27日で閉店だったとは。。。。


https://retty.me/area/PRE13/ARE9/SUB901/100000069144/



昭和は遠くになりにけり。。。。


プレス石井





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新・呑んだくれ日記(番外編) ~ 後楽そば@有楽町



プレス石井です。

新・呑んだくれ日記の今回は番外編。

有楽町ガード下の立ち食い蕎麦の名店、
『後楽そば』が明日5月27日(金)を持って
閉店との事。

まさかの一報を聞き、駆けつけた。



こちらは1972年創業。
以前は銀座側に拠を構えていたが、
再開発によりヨドバシカメラ向かいの
現在の地に移転。
そして今回は高架の耐震工事の為による
立ち退きとの事。

以前は新宿や田町にも店を構えていたが、
いずれも閉店。
有楽町店が唯一の店舗であったが、
それも最後の時を迎える事となってしまった。
界隈を訪れた際は必ず立ち寄っていた
数十年の思い出の店ゆえ、
悲嘆の程は計り知れない。


焼きそば(並盛・¥370)+玉子(¥70)


『後楽そば』は云うまでもなく立ち食い蕎麦屋だが、
名物は何と言っても『焼きそば』である。
気持ちばかりの肉と野菜に、直球のソース味。
夜店の焼きそばを彷彿させる、
どこか懐かしいジャンキーな味わい。
有楽町、銀座界隈のサラリーマンたちはもとより、
多くの焼きそば愛好家たちにも愛された一品だ。
今だから言うが、
こちらで焼きそば以外の物を食べた事が無い(苦笑)。




並盛とはいっても170g はあろうか、
結構な盛りが嬉しい。
更に、焼きそばには蕎麦つゆのスープが付いてくる。
これがまた激烈に熱い(笑)。
慎重にスープを啜り、
三分の一程食べ進んだら、
満を持して玉子の黄味を崩す。
ソースの味わいに黄味のまろやかさが絡んで、
もはや言葉には表せない。
正真正銘、昭和の焼きそばである。
ビールが置いていない事が
つくづく悩ましい。




変わらぬ味を舌に焼き付け、
後ろ髪をひかれる思いで店を出る。
閉店の悲報を聞きつけた客で店内は超満員。
外の券売機も大行列だ。
泣いても笑っても27日で最後。
こちらは24時間営業ゆえ、
実際のラストは28日の早朝となるらしい。
何とか近隣で営業再開を試みるそうだが、
詳細は未定との事。
復活を心より願う。



名代 後楽そば
東京都千代田区有楽町2-9-2
(営)24時間営業
(休)無休





そして今回の一曲。当該店にて脳内再生された曲を紹介。



Marlena Shaw  『Loving You was Like a Party 』

1974年、ブルーノートからリリースされた、
マリーナ・ショウの代表作といえる名盤 『Who is this bitch anyway?』
ロバータ・フラックのカバー曲 『Feel like makin' love 』を筆頭に、
名曲揃いの完成度の高いアルバムだ。
マリーナのパフォーマンスは勿論の事、
デヴィッド・T・ウォーカー、チャック・レイニー、ハービー・メイソンという、
錚々たる一流プレイヤーの面々による演奏も素晴らしい。

そのマリーナの引退公演、
最後のジャパンツアーが7月に執り行われる。

最後の焼きそばを、
郷愁とともに噛み締めた時、
マリーナの歌声が甘く切なく脳内に流れた。






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新・呑んだくれ日記 ~ #6 カブト@新宿・思い出横丁




プレス石井です。

不定期更新の『呑んだくれ日記』が、
『新・呑んだくれ日記』としてリニューアル。

キーワードは「ザ・昭和」
昭和を愛する私が好む、
男の一人酒や一人飯にふさわしい
お店などを中心に書き綴らればと。

駄文拙文は相変わらずですが、
何卒ご容赦の程。

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【第6回】
カブト @ 新宿・思い出横丁




新宿西口商店街。 通称 『思い出横丁』
長さ80メートル程の狭い路地に、
70以上の飲食店が軒を連ねる。

その誕生は昭和21年。
戦後、まだ焼け野原であった頃の闇市が発祥だ。

闇市を発祥とする飲食街は
かつて東京の彼方此方に存在していたが、
火災や再開発等でほぼ消散。
此処 『思い出横丁』 は当時の面影を残す
数少ない場所である。


今回の 『カブト 』は、
昭和23年創業。
『思い出横丁 』においても、
最古参的存在の鰻串焼きの専門店だ。


一口蒲焼 + きも焼き + 焼酎(金宮ストレート)



ひれ焼き



えり焼き



お通し (キャベツ浅漬け)


十人座れるかどうかの、
コの字カウンター。
グラスを持つ腕も隣席の御仁に当たるような、
極狭の空間。
バラック風のチープな建物が枯淡の趣に溢れる。
まさに昭和の大衆酒場の佇まいだ。

食通な方なら周知の事と存ずるが、
予約の取れない鰻の有名店、
池袋『カブト』の主は
こちらのご出身である。

此処では『一通り』がお約束。

『一通り』とは、
5種7本の鰻串のコース。

首の回りの肉を用いた『えり焼き』
腹ビレや背ビレなどの『ひれ焼き』
内臓の『きも焼き』
そして肝臓の『れば焼き』に、
一口サイズの『蒲焼』である。

鰻の様々な部位を用いた串焼きは、
長年継ぎ足されたタレで香ばしく焼かれる。
それを貪り喰らいながら
焼酎を呷るという、無上の至福。

卓上には梅割り用の『天羽の梅』も備えられているが、
鰻きものほろ苦さには、
甲類焼酎のストレートが丁度良い。
お通しの浅漬けも良い箸休めだ。

串は結構なハイペースで供される。
油断して受け皿を串の山とするのは無粋の極み。
サクッと食べて店を出る。
それが此処での流儀だ。

因みに私は、
一通りと焼酎2杯で
平均滞在時間約20分。

そして次の酒場を目指し、
横丁内を彷徨するのである。





戦後の闇市に端を発する『思い出横丁』。
1999年に大規模な火災に見舞われ、
全店舗の約4割が焼失。
『カブト』も一部が焼けたが奇跡的に生き残った。

先月火災が発生した『新宿ゴールデン街』も同様だが、
いつの時代も再開発の噂が囁かれ続けている。

時代の流れには抗しえないであろうが、
古き良き日本の文化遺産、
そして酒場遺産として、
末永くあって欲しいと
切に願うのである。


カブト
新宿区西新宿2-11-2
(営) 14時~21時
(休)日祝



そして今回の一曲。
当該店で自然発生的に脳内再生された楽曲を紹介。




EAGLES " Hotel California "

イーグルスの大ヒットナンバー、説明不要であろう。
ロック史にも残る名曲である。

カブトを後にし、次の酒場を目指す際に脳内再生。


" We are programmed to receive.
  You can checkout any time you like,
  But you can never leave. "

『チェックアウトは何時でも出来るが、あなたは決して此処を離れる事は出来ない』

『Hotel California』 の有名な一節。
この歌詞には様々な解釈が存在するが、
『ホテルカリフォルニアは、実際に立ち去る事が出来ない迷宮なのだ』
という意が通説だ。

思い出横丁も、正に魔性の迷宮。
店から店への、
終わりなき梯子酒。
ドン・フェルダージョー・ウォルシュ
美しく、かつ哀愁漂うツインギターが
酔いどれの脳内に虚しく響き続ける。






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