新・呑んだくれ日記 ~ #5
プレス石井です。
不定期更新の『呑んだくれ日記』が、
『新・呑んだくれ日記』としてリニューアル。
キーワードは「ザ・昭和」。
昭和を愛する私が好む、
男の一人酒や一人飯にふさわしい
お店などを中心に書き綴らればと。
駄文拙文は相変わらずですが、
何卒ご容赦の程。
(*前回はこちら)
【第5回】
兵六 @ 神保町
古書の街、神保町。
三省堂の裏手、
老舗喫茶ミロンガ等のある路地の角に
その酒場はある。
『兵六』は昭和23年創業。
界隈は勿論、
都内でも威名を振わす老舗居酒屋だ。
店の表徴たる大提灯に誘われ、
戸を開くと『コ』の字カウンターに迎えられる。
情趣溢れる、古風な木造りの店内。
昭和の風情を感じさせる、
アルカイックな空気に包まれている。
10人強が座れるかどうかの
小振りで雅趣に富んだカウンターの中では
三代目の主が鎮座し、
慇懃かつ思慮深く店内を差配する。
場所柄、出版社関係の客も多く、
名だたる文士達も通った昭和の名酒場は
古くからのご常連方で満席である。
お通し + 薩摩無双(お湯割り)
つけ揚げ
うるめ一夜干し
兵六の先代は鹿児島出身。
故に名物は、
『つけあげ』 や 『きびなご』 などの薩摩料理の数々。
合せる酒は鹿児島の本格焼酎 『薩摩無双』 だ。
上海に在留されていた経験から、
『炒豆腐』 や 『餃子』なども品書きに並び、
人気を博している。
兵六は厳格な酒場だ。
当時は女人禁制、
場違いな若者や酔客は
一喝され叩き出されていたとの事。
店内の壁には先代が定めた『四戒』が貼られている。
他座献酬
大声歌唱
座外問答
乱酔暴論
「他の客に酒を注ぐべからず」
「大声で歌うべからず」
「他の客に議論を持ちかけるべからず」
「酔って暴論を交わすべからず」
他にも『兵六憲法』なる、
先代が定めた決まりがある。
四戒同様、
酒の飲み方に限らず、
大人として、そして男としての
行儀や矜持について説いている。
三代目に代替わりした現在でも、
兵六の威風は変わる事無く継受されている。
電話も冷暖房も無い古き酒場に、
今宵も人々が集う。
店に息づいた四つの禁誡に
己を律しながら、
静かに盃を重ねるのである。
兵六
千代田区神田神保町1-3
(営)17時~21時半
(休)土日祝
そして今回の一曲。
当該店にて自然発生的に脳内再生された楽曲を紹介する。
Pharoah Sanders " Naima "
JAZZ界の巨人、ジョン・コルトレーン亡き後、
その後継者と呼ばれた、ファラオ・サンダース。
アルバート・アイラ-曰く、『トレーンが父、ファラオが子』と評された、
コルトレーンの遺伝子を受け継ぐテナーサックスの雄である。
師に敬意をこめて、
彼は度々トレーンの楽曲を取り上げる。
コルトレーンの名曲 『 Naima 』 もその一つだ。
兵六においては、
隣り合わせた古くからのご常連から、
店の昔話をお聞かせ戴いた際に脳内再生。
受け継がれる流儀。
図らずも、コルトレーンとファラオの姿が脳裏をかすめた。




