第2回
〜BRINGING IT ALL BACK HOME〜
今回のコレクションから触発されて作った雑誌の特集





 ここんところ、〈MEN’S BIGI〉のコレクションにヤられてる。ここが〈MEN’S BIGI〉発のコラムだから、お約束で言っているのではない。

 2003年の春夏コレクション・テーマがなんと「スペシャルズ」。80年代初頭にイギリスで活躍した白人黒人混合バンド。レーベル〈TWO TONE〉と共にスタイルを築き上げた粋人達。それを2003年の今に持って来るというリスク溢れるアクションを知って速攻で展示会に足を運んだのには理由はいらない。

 匂い、だ。

 強烈な香り立つ匂いを感じ取ったからなのだ。そこで紹介を受けたディレクターが長身細身の若い頃のショーケンにそっくりな坂田真彦だった。僕らの間で真っ先に挙がったのは「ポール・ウェラー」。It’s Alright!! これだけで十分だ。ミュージシャンから派生して来るスタイルをアイコンとして蘇生させるのは今にはじまったことでないモードの動きであるが、近年、富にその傾向が強まっているのは周知の事であろう。そういう状況だからこそ坂田の視点の「粋さ」が際立つのだ。

 その後、ウェラーと並んでキーワードの如く交わされたのが「ボブ・ディラン」。直後、坂田は又もグレイトなアクションを敢行した。それがこの秋冬コレクションで展開された「イギリスという地を訪れて触発され、その果実をアメリカに持ち返る時期のディラン――Bringing It All Back Home」というコンセプトで間髪を入れずに表現されていたことに驚いた。

 それに強く心を揺さぶられた僕は、同時期、やはりディランという存在を大きなテーマに据えたみうらじゅんのコミックス『アイデン&ティティ』が映画化されるというニュースを聞いて「タイアップ」ではなく「必然」として特集を組むことにした。それは坂田や、映画に出演する元ゴーイング・ステディの峯田和伸、中村獅童、脚本を担当した宮藤官九郎といった若い世代に強い影響力を持つクリエイターを通して、新しい世代がこのタイミングでディランに出会って欲しいという想いを込めて、だ。

 折りしもこれまでのディランの傑作アルバムがスーパー・オーディオCDの高音質でリイッシューされ始めた。一人の表現者のクリエイティヴが連鎖して、点が線となることで産まれるエネルギーを信じたい。

 詳細は12月17日発売のゲロという意味のスラングを雑誌名に掲げた『バァフアウト!』2004年1月号の特集『アイデン&ティティとボブ・ディラン〜What is your indentity?』に触れてみて欲しい。そして映画『アイデン&ティティ』に足を運んでみてください。必ずや感じる「熱」や「匂い」がそこにあるから。

 そう。かつて、あなたがオーダーしたカプチーノがまだ冷めないうちに。


山崎二郎(『バァフアウト!』編集発行人)

<’03年12月1日>